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京大公論

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 大学教員となって、授業などで遠隔教育やCALLについての話をすると、今でもこういう意見が聞かれる。「こういうのが発達すると、先生がいる授業はなくなるんじゃないですか?」当然であるが、「そんなことはありえない」と返答する。情報技術は人間の代替物ではない。人間は人間とのコミュニケーションを必要としているのである。
 今の生活を思い返せば思い当たる節があるだろう。携帯電話が急速に普及した。いや、携帯メールと言うべきか。とにかく、ほとんどの大学生が携帯電話を持っているであろう。その携帯メールで、コミュニケーションをとる機会が増えることで、友達と会う機会は減っただろうか?恐らくそんなことはないだろう。人間、メールだけでは生きていけない。
 当然、教育に関しても情報技術が導入されても、人間同士のコミュニケーションが重要であることには変わりはない。従来の授業形態がなくなることはないだろう。このように書くと、遠隔教育やCALLの価値がないように感じられるかもしれないが、そんなことは決してない。それ自身固有の価値、遠隔教育でしかできないこと、CALLでしかできないこと、が存在するはずだ。この固有の価値を明らかにすることが、私の研究テーマである。従来のスタイルと新しいスタイルが共存共栄することが必要だと思っている。

 学力低下論が叫ばれているが、今の学生には、今の学生にしかいない能力もたくさん持っている。その点に関しては自信を持っていいと思う。ただ、個人的に感じていることであるが、二極化が進んでいることは確かだと思う。誤解を恐れず、大雑把に言ってしまえば"やる気のある人"と、"やる気のない人"だろうか。大学時代は本当に自由である。いい意味で、責任がない。だからこそ、できることも多い。ぜひ真剣に挑戦してほしい。そして、メールでのコミュニケーションだと同世代だけになりがちだが、そうではなく、いろんな世代の人達や書物などからも、知識を得てほしい。年上の方達には、私達にはない経験があり、知恵がある。書物を読むことで、筆者が思索した跡をたどることができる。このような行為から多くのことを学ぶことができるはずである。

 書いたものを読み返してみると、どうもえらそうなことになってしまった。言うまでもなく、自分自身もまだまだ未熟であり、この文章は自分への戒めとも言える。4月から配置換えで新しい組織に移ることになった。どうも私は、新しい場所に縁があるようである。新しい場所で、"新しさと古さ"のその先にあるものを目指して挑戦し続けたい、そう思っている。

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