京大公論
2.なぜ「資本論」なのだろうか?
今では、社研で「資本論」を読むのは一部のメンバーであるが、それでも今なお「資本論」が読まれるのはなぜなのだろうか。
「昔は左翼的傾向、マルクス的傾向があったから、というのもあります。しかしそれだけではなく、時代を経て残ってきている古典というものは、論理構成に本当に無駄がないんですね。それを知るためには資本論でも国富論でも、一般理論でもなんでもいいんです。僕らはノウハウがある、ということで資本論を選んでいるだけなんです。そうやって、論理的な力、ものを見る力、読書する力、そういったものを養っていけると思っています。あと、社研の独自性としては、資本論を読むことにプラスして、思想に強い、ということが挙げられます。現代的なテーマも、実は背後で昔からの思想がキーとなっている場合が多々あります。こういった思想に興味のある人が多い、ということも特徴的ですね」
資本論を聖典として、でなくただの一つの文献としてとらえているようである。独りよがりな解釈になってしまわないよう、読んだ内容を人に説得させる、また大学院生や教官のようなチューターに指導してもらう、といったノウハウが資本論には最も充実しているようだ。もちろん、資本論を勉強する人ばかりではなく、社研には新自由主義的な考えをもつ人、右翼的な考えを持つ人など、様々なメンバーがいるということを付け加えておく。
吉本氏に「京大」について伺ってみた。
3.「京大生」について
「僕もまだ京大生3年目ですからねえ……(笑)。ただ、3年前と比べても今の1、2回生は授業に出るようになりましたね。今年の総人にはびっくりしました。またゼミなども充実してきて、大学側の教育に対する努力の姿勢も見えてきましたね。ただ、勉強に対して受け身の姿勢の学生が増えてきたのでは、と思います。授業を受けると、自然と頭に入ってくるし、独りよがりにはならないのでいいと思うのですが、個人的にはもっと『自分はこうやりたいんだ』というものを持っている学生が好きですね。社研でももっと自分のやりたいことを持っている学生が増えると面白くなるんですがね。また、最近就職活動をして思うことは、勉強だけでなくても、体育会であったり、語学であったり、趣味であったり、突っ走ってる人はすごくいいなぁと感じます。ただ漠然と授業に行って、漠然と生きてるんだったら、うちに入って(笑)、自分の問題意識を高めていってもらいたいな、と思いますね、それはゼミでもなんでもいいと思いますが」
学問に対する受け身の姿勢の是非は議論の余地があるが、常に社会に対してアンテナを張り、問題意識を高めていくことは、これからの社会で求められていくことになるだろう。
社研は、京大の『自由の学風』の真の意図としているところの、『学問に対する自立』が出来る者を輩出している、という印象を受けた。視野を広げる、論理的に考える、といったことを達成するには何をしなければいけないか、考えてみてはどうだろうか。
(文、写真:篠田優介)
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