ギャングスターズとそのコミュニティの今

京都大学アメリカンフットボール部 ギャングスターズ

はじめに

 今回インタビューが行われたのは、叡電元田中駅の近くにある、京都大学アメリカンフットボール部「ギャングスターズ」のクラブハウス。この四階建てのクラブハウスには、食堂、風呂、トレーニングルーム、ミーティングルームやビデオ編集室など、様々な設備が揃っている。選手たちがアメフトに専念できるよう整えられたすばらしい環境の裏に、ギャングスターズがいかに多くのひとに支えられ、そして愛されているのかが垣間見えた。
 今回、ギャングスターズの選手、スタッフにインタビューをして強く感じたのは、ギャングスターズというチームを核にしてできあがった、一つの“コミュニティ”の存在である。普段なかなか知ることができないその姿に、迫ってみたいと思う。

試合のビデオビデオで研究

アメフトの魅力

 インタビューを受けてくださったのは選手五名、スタッフ一名。高校時代からアメフトをやっていて「アメフトをやるために京大に来た」というひとから、日本一になりたい、テレビに映りたい、というひとなど、ギャングスターズに入部した動機は選手によって様々だ。
 入部の動機に対してはあまり多くを語らなかった選手たちだったが、アメフトの魅力について尋ねると、たくさんの言葉が返ってきた。
「始めたときは、まぁそんなに面白いなぁと思ったわけでもなくて、やっていくうちにだんだん面白さが分かってきた。やっぱりやってないひとは、危険とか痛そうとか言うじゃないですか。始めてしまうと逆に激しさが魅力になる。やっぱりかっこいいと思う」
「スポーツとして洗練されていると思う。すべての面において、精神面もそうだし、あと体のケアとか、そういうところもしっかりしなきゃいけない。プレイヤーだけでなく、プレイヤーを支える組織もしっかりしなあかんし、単にスポーツっていうか、スポーツを超えたところがきっちりしていないとできない」
「ぼくはもう、アメフトは『アルティメットスポーツ』だと思いますよ。疑似戦争っていうか、あらゆる状況を考えて、それに対していちばんいいプレイを選択するというソフトな頭の部分もいるし、かつプレイするときには思いっきりハードにいかないかんという。ほんとこう、心技体がそろわないといけないというところが魅力だと思いますね」
「すごく体のでかいやつもいますけど、普通に細いやつもいて、それぞれ役割があるから、取り柄があったら活躍できるっていうところが魅力だと思う」

ギャングスターズへの噂について

 アメフトの魅力を語る選手たちの言葉の端々に何度も出てきたのが、アメフトの「激しさ」である。確かに、アメフトというスポーツが与える激しい印象を引きずるようにして、ギャングスターズではあまりにも厳しい練習をして選手の体をどんどん大きくしている、というような噂が京大内を駆けめぐっている。しかし、選手たちはそのような噂を切り捨てた。
「多分、普通のひとらは普通に生活してるだけで、ちょっと飯食う量を多くしたり筋トレしたら、誰もが絶対すぐ大きくなるんですよ。みんなやってないだけで。特に京大生なんて運動してきてないやつらばっかりで、うちの部に入ってたくさん飯食ってたくさんトレーニングしたら、みるみるうちに、っていうのはあると思う」
 そして、少しだけ、京大生に苦言を呈した。
「ほかの大学に行ったら、たとえば同志社とかに行ったりしたら、ラグビーでも強いわけじゃないですか。で、普通にほかのスポーツも強いわけですよ。そういうところってやっぱり、ちゃんとやってると思うんです。食事もちゃんと食べるし、トレーニングもするし。それが普通であるべきなんです、スポーツをやるっていうことが」
 それでも、変な噂が広まるぐらいのほうが面白い、少しくらい神秘的な存在であってもいいと言って笑った選手の顔からは、京大で圧倒的な存在感を持っているチームの余裕を感じさせた。

食事も練習のうち

 ギャングスターズでは一回生が先輩と一緒の量のご飯を食べなければいけない、ご飯を食べ終わるまで見張られる、なんていう話があるんですよと、再び噂のことを尋ねてみると、それは当たり前のような気がするんですが、との答え。
「別に、いじめるためにやってるわけじゃなくて(笑)、飯を食って体をでかくするっていうのも練習の一環ってことなんで。たとえば他の部でも、練習するときに下級生がさぼってたらしかるじゃないですか。それと同じ感覚です。それがたまたまアメフトの場合は体をでかくしなきゃいけなくて、飯をたくさん食べなきゃいけないっていうのがあるから」
 そして、食事を用意してくれるスタッフへの気持ちを忘れない。
「食事を作ってくれるひとらがいてるんですけど、ほんと、スタッフのひとたちはメニューをすごく考えてくれるんですよ。選手がでかくなるように、とか。栄養管理もちゃんと」
「食事はおいしい。おいしいです。めちゃくちゃ食います」
 インタビューの後に食堂を覗かせてもらうと、いろいろなおかずと大きな器にもられたご飯をうまそうに食べる選手たちの姿があった。ギャングスターズの選手たちにとっては、ご飯を食べることも練習のうちに入る。選手の食事をつくる人たちの役割は、大きい。

食堂トレーニング

ギャングスターズを支える“コミュニティ”

 無論、選手を支えるのは食堂の人たちだけではない。コーチ、マネージャー、トレーナー、チームドクターなど、その人数は20人以上にもなる。三学年で選手が60人、一回生が30人程度であることも考えると、団体としてはかなり巨大であると言える。そして、ギャングスターズを中心とした“コミュニティ”の大きさという意味では、さらに巨大なものになる。後援会やOB部会、ギャングスターズの公式ファンクラブ「GGC(Green Gray Club)」や父母会など計1000人以上のサポーターの存在である。
 だがしかし──。「京大生」だけに絞って見てみると、そのコミュニティは意外なほど、広がっていない。
「アメリカのカレッジの試合とか見てると、みんな、自分の大学のグッズを身につけてすごく熱狂的に応援してて。まぁあっちではアメフトが国でいちばん人気あるスポーツだからっていうのもあると思うんですけど、そういうのがあれば、うれしいな、と」
「大学で応援してくれる友達とかいると、やっぱがんばろうと思うし、見知らぬひとがもっと見に来てくれるならなおさら。大学全体で盛り上げてほしい」
「友達でも見に来てくれへんからなぁ、ちょっとさびしい」
 京大生ってこういうことにちょっと冷めてるところがありますよねと話を向けると、選手の一人は、自分だけが良ければいいやみたいな考え方は国にとっても良くないですよと言って、笑った。

新入生に向けて

 来年度ギャングスターズに入るかもしれない新入生に向けて、一足早い勧誘をしてもらった。
「ひょろひょろでも、背が高い子とか運動やってて足が速い子とか、すばしっこいとか、ボール蹴るのが得意とか、なんでもいいんで。勧誘やってて『ぼくはひょろいから』とかよく言われるんですけど、それは、最初はみんなそうです。で、入ってから一年二年経って、どんどん体が大きくなるので。そのへんは気にせず、どんどんグラウンドへ足を運んでくれるといいなあと思います」
 ギャングスターズに入ると、アメフトだけの生活になってしまうのではないかという不安に対しては、「けじめ」「メリハリ」が大事であって、がんじがらめみたいなものはまったくない、ということだそうである。実際、練習は夕方からで、昼間は大学に通いそしてテスト前には勉強、である。

ギャングスターズで得たもの

 選手たちにとって、ギャングスターズに入って得られたことは何なのだろうか。
「大学生活をなんとなく四年間過ごすんじゃなくて、ちゃんと目的を持って、有意義に過ごすことができる場を見つけたこと。でもまぁこれからもまだ多くのものが手に入ると思う」
「僕は、たくましさかな。ひととして、肉体的にも精神的にも強くなれるというか。一回りも、二回りも」
「やっぱり、精神的なこと。失敗したらどうしようって思うんじゃなくて、よしやったんねんって思えるようになってる自分がいるっていうのが、昔にはないことだと思う。まだ完璧には思えへんねんけど」

ギャングスターズのためにできること

 最後に何か宣伝しておきたいことはありますか、と尋ねてみると、返ってきた答えはやはり、ぜひ試合を見に来てほしいということだった。
「試合を見れば見るほど面白くなるし、興味や、京大が勝ってほしいという愛校心みたいな気持ちが湧いてくるだろうし」
「自分はやらなくても応援してるっていうひとが、試合のチケットを買ってくれればその分活動資金になって助かるんで。できればうちの部から買ってほしい(笑)」
「まぁ、なんだかんだ言って、うちの部のことに関心がある京大生って多いと思うんですよ。それに、京大にいる間しか直接的には応援できる機会はなかなかないじゃないですか。だからこそ、もっと応援してほしいし、そのほうが僕らもすごく燃えるんで。お願いしたいです」

 ギャングスターズを中心としたコミュニティは、確かに、選手たちを支えるのにとても大きな役割を果たしている。だが、そのコミュニティはもっと広がっていくはずである。我々のギャングスターズに対する「関心」が、その原動力になるのは間違いないだろう。
 ちなみに、今年の抱負を伺ってみたところ、「もちろん、優勝でしょう。それだけですね」という答えとともに、それ以外いらんな、という力強い言葉が返ってきた。
 多くの京大生には、同じ大学の仲間として、その決意のためにできることがきっとあるはずである。

(文:堀口裕記、写真:篠田優介)
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