食材宅配サービスとして人気が高いコープデリとパルシステムですが、どちらも生協（コープ）であるため、コープデリとパルシステムの違いが分かりにくいと感じる方は多いでしょう。
本記事では、両者を徹底比較し、サービスの特徴、そして利用者が乗り換えや併用を検討する際のポイントを詳しく解説します。
品質・安全へのこだわり
両サービスは食品を取り扱う上で安全性を重視していますが、その基準設定や追求の度合いにコープデリとパルシステムの違いが見て取れます。
パルシステムは国より厳しい独自の基準を設定
パルシステムは、品質と安全性を最優先とする理念に基づいています。国が定める基準よりも厳しい独自の基準を設定し、農薬や添加物、遺伝子組み換え作物に対する厳しい制限を設けており、食の安全性を重視する利用者から高い評価を得ています。
コープデリは利便性と幅広い品揃えを重視
一方、コープデリは利便性と品揃えの豊富さを重視しています。国の基準を遵守しつつ、日々の生活に必要な食料品だけでなく、日用品や衣料品まで幅広い商品を取り揃えています。
商品品目数と価格水準について
パルシステムは、独自の安全基準を満たす約2,000品目の自社ブランド（PB商品）が中心となるため、全体的にコープデリよりやや価格帯が高くなる傾向があります。対してコープデリは、市販品（ナショナルブランド）も多く扱う約6,000品目以上と非常に豊富であり、全体的に比較的リーズナブルで家計に優しい価格設定となっています。
国産へのこだわりと添加物の基準の違い
国産へのこだわりにも違いがあり、パルシステムは、野菜や肉において国産・産直品を強く推し進め、化学調味料や添加物についても独自の厳しい基準で使用を厳しく制限しています。コープデリも国産品を扱いますが、業務用商品などでは海外産も扱い、添加物基準は国の基準を遵守しつつ独自の検査も実施しています。
手数料・割引制度は？
利用時に毎週かかる配達手数料（基本料金）や、子育て世帯向けの割引制度の内容にも明確な違いがあります。
通常の配達手数料の金額の違い
通常の配達手数料は、地域や注文金額によって異なりますが、コープデリの方がパルシステムよりも安価な傾向があります。コープデリは198円から220円程度の地域が多いのに対し、パルシステムは248円から350円程度となることが多く、毎週の利用コストを抑えたい場合はコープデリが有利です。
子育て世帯向けの割引制度の適用期間
どちらも子育て割引制度を用意していますが、その適用期間に違いがあります。パルシステムは、妊娠中から子どもが幼い期間において、手数料の割引内容が手厚く、無料になる期間が設けられていることが多いです。
コープデリは、割引の対象期間が小学校入学までなど、比較的長く設定されている傾向があります。
注文しなかった週の手数料の発生
注文しなかった週の手数料についてもコープデリとパルシステムの違いがあります。コープデリは、基本的に注文がない週の手数料は無料です（地域やサービス形態により要確認）。対してパルシステムは、原則として注文がなくても手数料が発生します。ただし、事前に休止申請をすれば手数料はかかりません。
生協加入時の出資金の違い
どちらの生協も入会金や年会費は無料ですが、生協加入時に出資金を預ける必要があります。この出資金の金額は、コープデリが500円～1,000円程度、パルシステムが1,000円程度と、大きな違いはありません。どちらも生協を脱退する際には全額が返金されます。
サービス内容と利便性の違い
日々の利用における利便性や提供されるサービスにも、両者の違いが現れています。
支払い方法の柔軟性
支払い方法に関して、パルシステムは口座振替に加えてクレジットカード払いにも対応しており、クレジットカードでポイントを貯めたい利用者には魅力的です。
一方、コープデリは、原則として口座振替のみの対応となっており、クレジットカードが利用できるのは一部の限定的なサービスに限られます。
デジタル注文方法の違い
注文方法では、どちらも注文用紙、電話、インターネットに対応していますが、デジタル注文の利便性に違いがあります。コープデリはLINEのトーク画面からの注文にも対応しており、より手軽な注文方法を提供しています。
配達頻度の違い
コープデリには「デイリーコープ」というサービスがあり、月曜日から金曜日のうち週3日以上の注文・配達が可能です。（毎日利用することもできます）。パルシステムは週1回の配達が基本となります。
ミールキットの特性の違い
時短調理に便利なミールキットにもコープデリとパルシステムの違いがあります。パルシステムのミールキットは、国産食材や化学調味料不使用にこだわった「お料理セット」が中心で、冷蔵品が多くなっています。
コープデリは、ミールキットの種類が非常に豊富で、冷凍ミールキットの取り扱いが多く、賞味期限の長い商品を選びやすいという特徴があります。
コープデリとパルシステムは乗り換えできる？
すでにどちらかの生協を利用している方が、もう一方の生協に乗り換えたり、両方を併用したりすることは、手続きをすれば可能です。
新しい生協への乗り換え手順
別の生協へ乗り換える場合は、まず新しい生協に新規加入手続きを行い、その後、利用中の生協に脱退の連絡をするという手順を踏みます。生協に預けていた出資金は、脱退時に全額返金されるため、金銭的な心配はありません。乗り換えを検討する際は、両方のサービスを比較するために、まずお試しセットを利用してみるのが最も確実です。
乗り換えではなく併用を選択するメリット
乗り換えずに両者を併用する利用者も多く、これにはメリットとデメリットがあります。併用のメリットは、パルシステムの高品質な食材と、コープデリの安価で豊富な市販品や日用品を使い分け、両サービスの「良いとこ取り」ができる点です。
また、一方が品切れの場合や、配達日の都合が悪い場合に、もう一方のサービスで補完できます。
併用を選択するデメリット
併用のデメリットとしては、手数料が二重にかかる点が挙げられます。基本的に両方の生協でそれぞれ手数料が発生するため、トータルのコストは当然高くなります。さらに、カタログの管理や注文、支払い管理が二重になる手間が増えることも考慮が必要です。
まとめ
コープデリとパルシステムの違いは、「価格と利便性のコープデリ」と「品質と国産のパルシステム」に集約されます。コープデリは、安さや品揃え、利便性を重視する方におすすめであり、パルシステムは、食品の安全性や国産へこだわる方におすすめです。現在利用中のサービスからもう一方への乗り換えは可能であり、手数料の二重払いさえ許容できれば、両サービスのメリットを享受できる「併用」も有効な選択肢となります。